二〇〇九年十二月 |
湾の鴨距離を保ちて漂へり
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浜名湖に半島幾つ冬紅葉
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遠き日の友と鰭酒酌み交はす
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河豚尽くし平らげてなほ続く宴
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喜寿米寿いづれ健啖河豚尽くし
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荷揚げ場の跡ある運河柳散る
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酒蔵の海鼠壁にも蔦紅葉
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掘割に柳と萩の黄葉かな
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天領の陣屋跡なり石蕗の花
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煉瓦塀覆ひ尽くして蔦紅葉
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落葉掻く倉敷美観地区の朝
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落葉掻く音のみ聞こえ朝の街
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コスモスの畑に五重塔浮かぶ
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五重塔置いてコスモス畑かな
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木守り柿見上げ五重塔見上げ
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こぼれたる山茶花円を描く庭
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山茶花の塵箒目を立てし庭
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時ならぬ菜の花咲いて里小春
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国分寺跡に立ちゐて冬日差
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水攻めの城の跡なり蓮枯るる
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水鳥のどっと来てゐる今朝の川
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水鳥の思ひ思ひの居場所かな
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水鳥に陣あるやうでなきやうで
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鰤船に振舞酒を持ちて乗る
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跳ねてゐる鰤をその場で捌きくれ
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これやこれ鰤の刺身の固さかな
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目の前で捕れし寒鰤食べて今
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寒鰤に大敷網の氷見をふと
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大勢で食ぶる寄鍋旨きかな
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寄鍋と云へば集る家族かな
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デパートの特設売場飾売
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スーパーの店頭ここも飾売
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産直の市場の出口飾売
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三姉妹揃ひの和服納句座
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