2008年12月22日 |
アメリカ発の金融危機が世界中に深刻な経済収縮をもたらしています。とくに自動車業界の不振は目を覆うばかりです。
アメリカでは文字通りアメリカの経済を牽引して来たゼネラルモーターズ、フォード、クライスラーのビッグスリーが政府に援助を求める有様です。
日本でもトヨタやホンダをはじめほとんどの自動車メーカーが生産調整に入り、派遣社員を切り捨てようとしています。
職を奪われ、寮まで追い出された若者が年の瀬の寒空に放り出されるとはいったいどうしたことでしょうか。
つい最近まで経常利益が2兆円といわれた企業がです。企業の内部留保はこうしたときのために活用するものではないのでしょうか。
輸出に依存しすぎていた経営を見直すことも必要でしょう。経営そのものを抜本的に見直すべきです。派遣社員を経営不振のときの調整弁のように取り扱う企業に明日の発展はないと私は思います。
アメリカのアトランタにデルタという航空会社があります。昔の話ですが航空業界が不況でどこの会社も人員削減していたときデルタだけが一人の社員の首も切らないと宣言したのです。
その社長の心意気に感激した社員がお金を出し合って航空機を一機買い求め社長にプレゼントしました。
社長はその飛行機を「スピリット・オブ・デルタ」と名づけて新路線開拓に挑戦し、見事に苦境を乗り越えたと言います。
資本主義のアメリカで聞いた実話です。日本の企業にもかつては松下幸之助さんのように経営哲学を持った方がたくさんいました。私は今の経営陣に経営者としてのモラルを求めたいと思います。
百年に1度と言われるほどに厳しい経営環境です。来年は今年以上の不況が予想されます。「スピリット・オブ・デルタ」のような話が聞ける新年にしたいものです。
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2008年11月18日 |
支給対象や方法を巡って混迷している定額給付金について全国町村会事務総長は「全ての町村が所得制限を設けない方向で統一した扱いとすることが望ましい」とする文書を各都道府県の町村会事務局長に送ったと報道されています。
全国町村会は25日の役員会で議論して結論を得たいとしており、会議の結論が各自治体の判断に影響を与えそうです。
与党合意では定額給付金の支給については支給対象や方法を市町村に一任しており、所得制限を設ける場合にはその基準を設定していますが、設けないこともできるとしています。
全国で統一して所得制限しなければ町村の事務負担は軽くなります。また、町村ごとの格差がなく無用な混乱も起こりません。
定額給付金は誰にでもわかりやすい簡素な方法で且つ迅速に給付することが何より大切です。そうした視点から考えると私は一人の国民として全国町村会事務総長案に賛成です。
そもそも麻生総理が最初に記者会見で述べた追加経済対策としての定額給付金は全ての国民を支給対象にしたものでした。
その後、政府や与党のなかで「高額所得者への支給は如何なものか」との意見があり、首相自身も考えを変えたところから混乱が始まったのでした。
混乱したら最初の原点に返れといわれます。定額給付金は福祉政策ではなく、経済政策として実施するものと割り切って迅速に実施することが何より大切なことではないでしょうか。
スピードが命の政策にいろいろな意味を持たせるのはあまり賢明とはいえないのではないでしょうか。今はともかく早く支給することこそ肝要です。
米国の金融危機から始まった世界同時株安、ドル安、ユーロ安は世界恐慌の様相すら見せて進展しています。日本の実体経済も深刻な影響を受けています。
定額給付金を柱とする追加経済対策が一日も早く実施されるよう麻生首相のリーダーシップを期待しています。
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2008年10月31日 |
麻生首相は30日、記者会見をして米国発の金融不安による景気減速などに対応する追加経済対策を発表しました。
現在の経済状況をグリーンスパン前米連邦準備理事会(FRB)議長は「百年に一度の津波」と言っていますが、麻生首相も「百年に一度の暴風雨」と語り「政策を実現して国民の生活不安にこたえることが優先順位の一番だと思う」と政局よりも政策を優先する考えを強調しました。
追加経済対策の融資枠拡大などを含めた事業規模は過去最大の約27兆円。実質的な財政支出となる「真水」も約5兆円で、財源には財政等融資特別会計などの「埋蔵金」を活用し、赤字国債の発行を回避しています。
主な対策は第1に生活者対策として定額減税は給付金方式で全世帯に実施。規模は約2兆円。単純計算すると4人家族で約6万円になります。
第2に中小企業金融対策として緊急信用保証枠と政府系金融の緊急融資枠を合わせて約30兆円が用意されます。
第3に地方対策として、高速道路料金は休日はどこまで行っても最高1000円。平日も3割引にします。また、道路特定財源の一般財源化に伴って1兆円を地方に移します。
景気対策期間中は減税を時限的に実施しますが、経済状況が好転した後に、消費税を含む税制の抜本改革を速やかに開始します。
今年末に税制全般の抜本改革の全体像を提示します。大胆な行政改革の後、経済状況を見た上で3年後に消費税の引き上げをお願いしたい。
以上が麻生首相が記者会見で語った追加経済対策の柱ですが、かなり踏み込んだものになっているのではないかと私は思います。
問題はこうした追加経済対策が盛り込まれた「第2次補正予算案」が国会で可決されるかどうかです。「第1次補正予算案」は野党の民主党も賛成してスムーズに成立しましたが「第2次補正予算案」はどうでしょうか。
政局の焦点となっている衆議院の解散総選挙が当面見送られたことから、国会は再び与野党激突のねじれ国会に戻りそうです。国会が国民を忘れた政争の場にならないことを祈っています。
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2008年10月12日 |
アントニオ・ストラディバリ(1644年-1737年)はイタリアで活動した弦楽器製作者です。彼が製作したバイオリンは約1200あるといわれ、そのうち約600の存在が確認されています。
バイオリンのほかビオラやチェロも約50が製作されているようですが、いずれも弦楽器の代表的な名品として知られています。
私は幸運なことについ先日、徳島にいてストラディバリのバイオリンを聴き翌日、ストラディバリのチェロを聴く機会に恵まれました。二日続けてクラシック好きの皆様と友にすばらしい秋の夜を過ごさせていただいたのです。
バイオリンはストラディバリ晩年の名作をソリストの天満敦子さんが天衣無縫、自由自在に使いこなしてくれました。実にすばらしい演奏振りでした。
北西ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団との協演でしたが、天満さんの小さなバイオリンが管弦楽団全体を引っ張っていく迫力には心から感動しました。
チェロは現在最も名の知れた若きロシアのソリストであるタチアナ・ヴァシリエヴァさんが1725年に製作されたストラディバリをこの人を中心に設立されたベルリン・フィルハーモニー五重奏団の演奏会で披露してくれました。
この演奏会では第一バイオリン、第二バイオリン、チェロ、ビオラ、コントラバスの合奏団メンバーがそれぞれソリストとして登場したかと思うと、仲間の理想的な伴奏者として交代し即座に立場が入れ替わるのです。
息の合った見事な演奏に観客からは拍手が鳴り止みません。アンコールのあと何度もアンコールが続きました。ストラディバリのチェロはソロになるとその音色に一段と深みを増しました。
北西ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団の演奏会ではベートーベンの交響曲第五番「運命」がフィナーレを飾りましたが、これもまた見事なものでした。
ベルリン・フィルハーモニーの五重奏団の演奏会ではポール・ナナコさんのピアノと協演する場面もあり、見ごたえがありました。
二つの演奏会に出席させていただき私は心が豊かになった思いがします。はるばると徳島まで来てくださった演奏家の皆様、本当にありがとうございました。お疲れ様でした。
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2008年9月19日 |
高校のクラス会で神戸に行ってきました。徳島、愛媛、岡山、千葉、兵庫県から神戸・三ノ宮の駅前に集ったのは総勢11人。男ばかりです。
地下鉄で元町まで行って、昼ごはんはインド料理です。予約してくれてあって二階の部屋は貸切です。昼間からビールも頂き、いい気分です。
おなかも一杯になったので、運動も兼ねて神戸港まで歩き、シーバスでクルージングを楽しみました。ドックで修理中の自衛隊の潜水艦を見たり、神戸空港を目の前で見ることもできました。
神戸港では阪神淡路大震災の被害状況を残すために一部の岸壁が被災時のままにされていました。当時のことを私は昨日のことのように思い出しました。
私は震災の翌日、淡路島の北淡町の被災地に行き、その後、淡路島の津名港から神戸港まで高速船で入りました。
高速船の港は浮きドックで作られていました。そこから歩いて三ノ宮駅前まで行きました。高速道路は横倒しとなり、大半のビルは崩れ落ちていました。
私は太平洋戦争のことは知らない世代ですが、写真で見る空襲後の徳島市内のような光景でした。神戸の町が何処もかしこもガラクタの山と化していたのです。
少し経ってもう一度、被災地を回ったことがあります。このときには元町の商店街に「負けるな。神戸」の横断幕が張られていて感動したことを憶えています。
今回も元町の商店街や南京町を歩いてみたのですが、震災があったことが全く感じられないほど綺麗になっていました。見事な復興振りでした。
クラス会ではポートビアホテルで神戸の夜景を見ながら話が弾みました。翌日は北野の異人館でイタリア料理を頂き、来年の再会を約束して散会しました。お世話してくださった皆さんに心から感謝申し上げます。
・快晴の二百十日となりにけり
・神戸港さざ波一つなき厄日
・つくづくと神戸の夜景見る夜長
・ポートピアありしは昔秋の虫
・クラス会尽きぬ話の夜長かな
・破れ傘南京町の水盤に
・仲秋の南京町の賑ひに
・秋日傘傾けて見る風見鶏
・異人館坂道多し秋暑し(和良)
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2008年9月8日 |
政治の世界は一寸先が闇といわれますが本当にそのようです。誰もが予想だにしなかった福田首相の突然の辞意表明以来、この国の政治情勢は百八十度転換してしまいました。
低い内閣支持率が続き、解散できる状態にない以上、来秋の衆議院議員の任期一杯まで解散を先送りすべきだと言っていた方々まで、早期解散を期待すると言い出す昨今です。
新聞各紙を読んでみると9月22日の自民党総裁選挙で新総裁が選出された後、24日に国会召集。召集日に首班指名選挙が行われ、新首相が誕生する予定となりそうです。
新首相による新内閣が誕生した後、29日には新首相の所信表明演説が行われ、10月1日から3日にかけて衆参両院で代表質問が行われた後、ただちに衆議院が解散。10月28日に総選挙が公示され、11月9日に投開票が行われると報道されています。
解散権は首相の大権ですから誰が新総裁となり、新首相になるのかわからない時期に勝手に総選挙の日程まで言及することはいかがかと思いますが政局の大勢がそのように動いていることは確かなようです。
最大野党の民主党の代表選挙は候補者が一人ということもあり、無投票でした。これに比べて自民党の総裁選挙は近年にないにぎやかな選挙になりそうです。
自民党の誰もが最大の危機だと認識しているからこそ、大いに政策論争をしてこの党を活性化しようとしているのでしょう。私はそのこと自体は大いに賛成です。
総裁選挙を総選挙のための劇場政治の舞台にしているとの批判もありますが、そんな批判を引き飛ばすような、見ている国民がわくわくするような、本格的な論戦を展開してもらいたいと私は思っています。
一般の国民は自民党の総裁選挙に投票できませんが、現在の政治情勢では自民党の総裁が日本国の首相になるのは間違いありませんから、この選挙の行方に関心を持っていることは間違いありません。
そんな国民の期待に真っ向からこたえるような総裁選挙であってほしいと重ねて要望します。国民の目から見てどんな日本にしたいのかはっきりとわかる明快なメッセージを各候補者は出してもらいたいものです。
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2008年8月25日 |
阿波踊りが終わり、北京オリンピックが終わりました。宴の後の静けさというのでしょうか。気がついてみると昨日までの蝉時雨はすっかり静まり返って、今日は虫の時雨に変わっています。
徳島の阿波踊りは毎年8月12,13,14,15日に行われます。今年、私は県外から2組のお客様を招いて桟敷席で阿波踊りを見物しました。
初日の12日には奈良と香川のお客様、最終日の15日には千葉、東京、静岡、愛知、岐阜からのお客様でした。
総勢11人でしたが、どの方も阿波踊りを桟敷席で見るのは初めての方ばかりでした。徳島に来たことが初めてという方も多くいました。
皆さん阿波踊りを心から楽しまれ踊りの連のあとに踊りながら着いていく人もありました。今も阿波踊りの囃子が耳の底に残っていますと手紙をくれた人もありました。
徳島の人は親切ですね。無理なことをお願いしても笑顔で応対してくれました。という嬉しい声も寄せられました。
こんな体験もしました。帰りのバスの予約を変更しようとすると早朝以外はすべて満席といわれたお客様がいました。私が何とかなりませんかと尋ねると「念のため早朝の切符はキープしておきますから、別のバス会社にも当たってみてください。いい時間帯のものがあるかも知れませんよ」と親切にも別のバス会社を紹介してくれたのです。
別のバス会社に聞くと何と希望の時間帯のバスが空いているではありませんか。そのバスを予約して元のバス会社に連絡すると「良かったですね。それではこちらの方はキャンセルしておきます」との快い返事でした。
お客様にそのことを伝えると「自分の会社のことでなくお客のことを第一に考えてくれるのですね。うれしいですね。そんな徳島に来てよかった」と喜んでくれました。
阿波踊りを見てからの夕食で遅くなったにもかかわらず笑顔を絶やさず応対してくださったホテルの関係者にも皆さんから感謝の声が寄せられました。県外の人に徳島をほめていただくのは本当にうれしいことです。
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2008年8月19日 |
私は北京オリンピックをテレビで観戦しているのですが、昨夜は本当に感動しました。 女子棒高跳びで優勝したロシアのエレーナ・イシンバエワ選手の一挙手一投足にです。
彼女は、最初の4メートル70、次の4メートル85は余裕を持って1回で成功。今季4メー トル92をマークしてライバルと目されていた米国の選手が4メートル90をクリアできず、記録が4メートル80にとどまった時点で早々と金メダルを決めました。
しかし彼女は試技を続行し、五輪新の4メートル95を3回目でクリア。さらに彼女自身が7月29日のモナコ国際で樹立したばかりの世界記録5メートル04を塗り替える5メートル05の世界新記録に挑戦したのです。
自己記録、世界記録を残すための自分への挑戦です。彼女は自己を奮い立たせるためでしょうか、ここに来て初めて観客席に手拍子を求めます。
開会式の行われたあの「鳥の巣」と愛称される広い国家体育場ではすでにすべての陸上競技が終わり、競技しているのは彼女一人でした。
9万人の観衆に囲まれたたった一人のステージで彼女は自己に挑戦し続けます。1回目、2回目、バーは足に触れて落下します。
3回まで許された跳躍のラストチャンス、もう制限時間ぎりぎりです。誰もが諦めかけたその瞬間、彼女は綺麗に跳び越えたのです。バーは揺れることさえしませんでした。
喜びを体中に爆発させてマットの上で宙返りする彼女。観客席も総立ちで嵐のような 拍手です。私もテレビの前で思わず歓声を上げてしまいました。
「5メートル越えを目標としていたころ、車のナンバープレートを『500』にしていた という。5メートルを越えた今、いつ5メートル10を越えられるかと問われ『すぐにも』と答えた26歳は『限界?空だけが唯一の限界よ』とちゃっめけたっぷりに笑った」と新聞は伝えています。
アテネの覇者が北京で連覇することがいかに難しいか、他の競技を見ればよく分かる。彼女は連覇にとどまらず、通算24度目の世界記録更新を成し遂げた。26歳の女王のさら
なる活躍を心から祈りたい。
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2008年7月31日 |
暑中お見舞い申し上げます。今年の暑さは格別です。明日から8月ですが暑さは収まりそうもありません。7月以上に暑い日が続きそうです。
私は若い頃、3年半で徳島県下のご家庭を7万軒訪問したことがあります。一日に750軒訪問したこともありました。
家庭訪問の目的は人々の日本の政治への生の声を聞くことでした。春夏秋冬一年を通して歩きましたが、なぜか夏の思い出が印象に残っています。
夏はいつも麦藁帽子に腰手ぬぐい、そしてスニーカーでした。南国徳島はこのスタイルが一番涼しいのです。
今年は、麦藁帽子をちょっとグレードアップしてパナマ帽にしてみました。飛行機の機内誌に載っていた通信販売で買ったのです。
届いたパナマ帽はメイド・イン・エクアドルでした。パナマ帽を辞書で引くとたしかにエクアドルで採れるパナマ草で作った帽子とありました。
どうしてパナマ帽と呼ばれることになったのか、名前の由来を調べてみると面白いことに気がつきました。
この帽子の起源は14世紀中頃で、パナマ運河建造中に技術者や労働者が酷暑から身を守るためにエクアドル製のこの帽子を着用したことから、パナマ帽の名前になったとのことでした。
つまり日本の麦藁帽子と同じ使われ方をしたわけです。このパナマ帽が紳士の帽子として使われ始めたのは1906年に米国大統領セオドル・ルーズベルトがパナマ運河で買い、好んで被ったことに始まるといわれています。
先日、俳句の会の吟行に被っていくと皆さんからよく似合うと褒めていただきました。被り心地もいいです。この夏はこれで暑さを乗り切りたいと思っています。
・エクアドルなる国はどこパナマ帽
・笠智衆とぞ呼ばれけりパナマ帽
・パナマ帽被る齢となりにけり(和良)
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2008年7月11日 |
北海道洞爺湖サミットが終了しました。今回のサミットは地球温暖化の進行、原油や食料の価格高騰、金融市場の緊張など、世界規模の問題が山積している中で開かれました。
これらの課題を前に、首脳同士が一つのテーブルを囲んで3日間にわたって、昼夜をわかたず真剣かつ率直な議論を行ったことは良かったと思います。
地球温暖化の問題では2050年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を少なくとも50%削減するという長期目標についてこれを世界全体の目標として採択することを求めていくことで合意することができました。
原油や食料の価格高騰の問題についても、各国が果たすべき役割について熱心な議論が重ねられました。
政治分野では、核不拡散の問題を重点的に取り上げ、北朝鮮とイランについて充実した議論を行い、北朝鮮による拉致問題については、その解決の重要性に各国首脳の支持を得たことも一歩前進といえるでしょう。
今回のサミットでは先進8カ国だけでなく、中国やインドなどの発展途上国の首脳も後半の会議には参加しました。
温室効果ガスの排出量でいえば世界の80%を超える国々の代表が一同に揃ったわけであり、そこで削減の長期目標を合意できたことは、大きな意味があったと思います。
今後の取り組みについて、次回のサミットはもちろん国連でも議論を深めようと合意した点も私は評価できると思います。
国連の機能の強化については繰り返し叫ばれていますが、なかなか実を結んでいません。人間の安全保障といった観点から地球環境の問題や原油や食料の高騰の問題に対しても国連は意欲的に取り組んでもらいたいものです。
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2008年6月9日 |
日本の男子バレーボールが16年ぶりに五輪出場できることになりました。1992年のバルセロナ五輪以来じつに4大会ぶりの出場です。
五輪出場を決めたのは7日、東京体育館で行われた対アルゼンチン戦でした。私もテレビ観戦しましたが、稀に見る良い試合でした。
日本は接戦の末に第1セットを落としてしまいます。しかし第2セット第3セットを連取。ところが第4セットを取られて、フルセットに持ち込まれます。
ここからがすごい戦いでした。ジュースを取ったと思えばたちまちジュースにされる。どちらが勝つかわからない緊迫した接戦が繰り返されました。
日本が勝った瞬間、怒涛のような日本コールが起きました。監督の植田辰哉さんは感動をこらえ切れないのでしょう。コートに倒れこんで号泣していました。
監督インタビューで植田さんは1972年のミュンヘン五輪男子優勝監督の松平康隆さんや1992年のバルセロナ五輪時の代表監督で「ミュンヘン金メダルメンバー」の大古誠司さんの名前を挙げながら、北京ではメダルを取りにいくとはっきりと宣言しました。
観客席で観戦していた大古さんのところまで駆けつける植田さん。そして抱き合う二人に師弟の愛を見る思いがしました。
金メダルへの道は至難の道であることでしょう。しかし日本には金メダルを取った経験があるのです。もう36年も前の話になってしまいましたが、その時の感動を私は今も忘れることができません。
五輪出場を決めた日本男子バレーボールに多くの日本国民はあの日のあの時の感動を今、再びと期待しています。監督と選手の皆さんのご健勝とご活躍を心から祈っています。頑張ってください。
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2008年5月19日 |
中国四川省の山間部を12日、マグニチュード7.8の大地震が襲いました。救助活動は困難を極めています。15日の段階で推定死者は5万人以上と中国政府は発表しました。
中国政府は15日、日本政府からの人的援助の受け入れを表明。日本政府は国際緊急援助隊の派遣を決定し、第一陣が北京に到着しました。
16日、日本の国際緊急援助隊の第一陣は四川省北部の青川県の倒壊建物現場で救援活動を開始しました。ロシアと韓国の救助隊も被災地入りし国際的な救援活動が活発化しました。
各国の救援活動を歓迎した中国に比べ、ミャンマーの軍事政権はサイクロンに直撃され死者・行方不明者13万人を出しながら、いまだに欧米諸国からの救援を拒んでいます。
相手が先進国であれ途上国であれ、国際社会は困った時には援助しあう。それが国際社会のルールなのです。
国家は国民のためにあるのですから、自然災害の犠牲になっている国民を外国の方々の応援をいただいても一刻も早く救い出そうというのが政治指導者の当然の責務です。
国のメンツなどを考えているときではありません。ミャンマーの軍事政権も一刻も早く国際的な援助隊を受け入れるべきです。
国連は人道問題調整事務所長のホームズ事務次長を18日にミャンマーに派遣。東南アジア諸国連合は19日にシンガポールで緊急外相会議を開催してミャンマーに救援隊の受け入れを迫るようです。
ミャンマーを大型サイクロン「ナルギス」が襲って2週間になります。極度に悪化した衛生状態からコレラの蔓延も危惧されています。洪水の水溜りから大量発生する蚊が媒介するマラリアの流行も懸念されています。
事態は深刻です。ミャンマーの政治指導者は一刻も早く国際援助隊の受け入れを決断すべきです。
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2008年5月2日 |
国民が注目したガソリン税の暫定税率を含む歳入法案に対して参議院は意思を示すことができませんでした。賛成でもなく、反対でもなく、修正でもなく、何の意思を示すことなく60日間を過ごしてしまったのです。
衆議院から送付された法案を1ヶ月以上店晒しにし、ようやく審議が始まったと思えば非難合戦に明け暮れ、議決することさえできなかったのです。
福田首相も内閣メールマガジンでいっていますが、予算がすでに執行されているのに予算の裏づけとなる歳入法案の結論が出ない不正常な状態をこれ以上続けることはできません。
国会が憲法第59条の「参議院が、衆議院の可決した法律案を受け取った後、国会休会中の期間を除いて60日以内に、議決しないときは、衆議院の議決を国会の議決とする」の条文どおりに実行して衆議院で再可決したのはやむをえないことでしょう。
誠に情けないことです。これでは参議院の存在意義まで議論されかねません。参議院の多数党は野党なのですから、正々堂々と議論して反対であれば否決すればいいのです。否決もできないというのはみっともないことだと私は思います。
国会は言論の府です。審議を拒否したり、本会議の開会を実力で阻止しようとするのは言論の府の自殺行為といえるのではないでしょうか。
最近の参議院は冷静な議論がされずに感情的な対立ばかりが目に付きます。参議院はかつて良識の府といわれましたが昔日の思いがします。
野党は国民に向かって政府と与党は無責任であると糾弾しています。しかし審議をしないで参議院で意思を示せなかった野党も無責任ではないでしょうか。
国会はまだ開会中です。国民に関心の深い後期高齢者医療保険制度について、この国の皆保険制度をどうすれば安定して維持できるかという視点からの冷静で熱心な議論を私は与野党双方に切望します。
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2008年4月12日 |
福田康夫首相が提案していた道路特定財源の廃止と2009年度からの一般財源化を柱とする基本方針「道路関連法案等の取り扱いについて」が政府・与党案として決定しました。
全文は8項目で構成されていますが、まず第1項目として、道路関係公益法人や道路整備特別会計関連支出の無駄を徹底的に排除することを上げています。
第2項目には、政府全体で、行政と密接な関係にある公益法人について、集中点検を実施し支出の無駄を徹底的に是正するといっています。
第3項目に、道路特定財源制度は今年の税制抜本改革時に廃止し2009年度から一般財源化すると明言しています。
以上の3項目が政府・与党案の骨格であると私は理解しました。あとの項目には地方財政への配慮や一般財源としての使途のあり方や道路整備のあり方などが書かれていますがいずれも当然のことでしょう。
問題はこれからの与野党協議です。4月末まであと2週間の間に結論が出るかどうかです。民主党がどう判断するかです。
政府・与党は野党との政策協議が不調に終わった場合でも、この案を実現すると腹を固めています。こうした政府・与党の方針を私は支持したいと思います。
指導力が見えないといわれてきた福田首相ですが、自民党の中にある反対意見を封じ込めてこうした決定にまで持ち込んだのは総理・総裁という立場ならではの指導力の発揮といえるでしょう。
国会の党首討論で「民主党は結論を出すのが遅い」「民主党は誰に話せばよいのかわからない」といつになく激しい口調で攻撃していた福田首相の姿が印象的でした。
その福田首相です。現在は「私は指導力を発揮して政府・与党をまとめたのだから民主党も党首が指導力を発揮して党内をまとめてもらいたい」と思っているのではないでしょうか。
国民のことを忘れた「政局優先」の政治は困ります。与野党ともに国民あっての政党です。国会が本来の国会としての役割を果たしてくれるよう期待したいと思います。
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2008年4月3日 |
ガソリン税など道路特定財源の暫定税率維持を含む税制関連法案は、衆参両院議長のあっせんがあったにもかかわらず、2月29日の衆議院通過から一ヶ月もの間、参議院で一度も審議されないまま新年度を迎え、ガソリン税の暫定税率の期限が切れてしまいました。
国会では、税制改正法案など歳入法案の成立の遅れは国民生活や地方財政に大きな影響を与えるため慣例として次年度の予算案とともに年度末の3月31日までに成立させてきました。
現在の国会は衆参で多数党が違うという「ねじれ状態」にあるとはいえ、今回立法府の良識として続いてきた慣例が破られたことはきわめて残念なことです。
巷では「国会が国会の役割を果たしていない」「政治のツケを国民にまわすな」と与野党双方に対して厳しい意見が噴出しています。
福田首相は「ガソリン価格の引き下げだけを主張し、人気取りに走ることは簡単です。しかし、しっかりとした見通しのないままでは、子供や孫たちの将来世帯にツケを回すだけになってしまいます。私としてはこの国と、子供たちの将来のためにも、暫定税率の維持をお願いしたいと思います。そして、一日も早く参議院で結論が出ることを期待しています」と記者会見で語っています。
また「道路予算のムダの排除へ、国の支出全体について抜本的な改革を行い、行政全体のムダの排除に取り組んでいく」とも決意を語っています。
注目すべきは「道路特定財源の2009年度からの一般財源化」を福田首相自身が思い切って提案したことです。私は勇気のある提案だと思います。伝えられるところによると「殿ご乱心」と官邸に駆けつけた自民党の幹部があったほど従来の自民党からすれば驚天動地の新提案だったのです。
これに対して民主党は歩み寄ろうとしませんでした。その頑迷ぶりは「今の民主党にとって、道路財源問題は、選挙のための手段になっていると見るしかない」(毎日新聞)など各紙が指摘するとおりです。国民生活より政局を優先する姿勢はこの際ぜひとも改めてもらわなければなりません。
現在の民主党の姿勢に対して、民主党の内部からも「暫定税率の廃止がなければダメだと突っぱねるのはおかしい。一般財源化こそ改革の本質だ」(前原誠司前代表)などの意見が出ています。
4月末まで約1ヶ月あります。この間に参議院では今度こそしっかり議論して良識の府らしい結論を出してもらいたいと思います。審議することが選良としての務めであることを今一度肝に銘じてもらいたいものです。
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2008年3月21日 |
戦後初めて日本銀行総裁が空席となりました。福田康夫首相が出した総裁の人事案が国会で同意を得られなかったためです。
福田康夫首相は20日の内閣メールマガジンで、戦前の浜口雄幸首相の「唯一正道を歩まん」という言葉を引用して心境を語っています。
「ただ空白を避けるため、当たり障りのない人物で政治的妥協を図ることはできたかもしれません。しかし、日本経済や国民生活に大きな影響を与えるポストだからこそ、逆に、人物本位を貫くべきだと考えました」と首相の気持ちを正直に述べているのです。
たしかに参議院で多数を占める野党は財政と金融を分離する原則から財務省出身者の日本銀行総裁を認めないという態度をかたくなに固執し続け、2度にわたって首相の人事案を不同意にしました。この野党の政局を優先した態度を認めることはできません。
しかし冷静に考えてみて野党が反対することがわかっていながら、かたくなに自分の考えを貫く首相の方針もいかがなものかなと正直、私は思います。
国民の目線に立って今回の成り行きを見ていますと、どっちもどっちだなと思う人が多いのではないでしょうか。お互いに正しいと思ったことを少しも譲らないのでは子供の喧嘩と同じでいつまでたっても平行線でしょう。
日本銀行総裁の空席が今後どんな形で国民に不利益を生ずるのか今の時点では明確ではありません。しかし日本の国際的な信用が失墜したことは間違いありません。
国民生活のうえでは日本銀行総裁の空席以上に深刻な事態を招きかねないガソリンなどへの暫定税率をどう扱うかについても国会での見通しは立っていません。
政府は暫定税率の10年延長を盛り込んだ税制関連法案を国会に提出していますが参議院ではまだ審議にすら入れていません。
3月末まであと10日です。この間に与野党協議がまとまらなければ国民生活の混乱は必至です。衆参のねじれ国会では与野党が持論をぶつけ合っているだけでは何も決まらないのです。
与野党の協議がガソリン代を値下げするかしないかといった矮小化した議論ではなく、日本の道路行政の抜本的な改革はどうあるべきか。そのための税制はどうあるべきかを論じたうえでの合意をぜひとも作り上げてもらいたいものです。
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2008年3月4日 |
13万部突破のベストセラー「千年、働いてきましたー老舗企業大国ニッポン」(野村進著、角川書店)を読みました。
この本は世界最古の会社がヨーロッパのどこかの国ではなく実は日本にあること、しかも西暦578年なんと飛鳥時代から続いている建築会社が大阪にあることから書き始めています。
ほかにも創業して1300年になろうかという北陸の旅館、1200年以上の京都の和菓子屋、同じく京都の1100年以上の仏具店など日本には気が遠くなりそうなほど長寿の老舗がありますが、この本は職人たちの集団としての製造業に焦点を当ててその長寿の秘密を探っています。
なぜ日本にだけ老舗の製造業が生き残るのか。著者はものづくりの現場を徹底取材します。そこで得た一つの結論は日本人は伝統的に職人を尊ぶこと。「名人」として最大級の敬意を払われたのはサムライではなく、職人であったことを挙げています。
江戸時代の約260年間は世界史上でも稀に見る平穏な時代でしたが、それ以前と以後は激動期でした。ことに幕末の開国から現在に至る約150年間は、前代未聞の規模とスピードで技術革新が進み、急変を遂げてきた時代でした。
こうした時代の有為転変を乗り越えてきた老舗製造業を通して職人たちのものづくりへのあくなき挑戦をこの本は綴っています。
そして「生きとし生けるもの」への敬意と「伝統は革新の連続」という創造への挑戦。この「職人気質」こそこれらの老舗製造業が生き続けてきた秘訣であると言っているのです。
著者は「あとがき」を「4,5000年前の金細工が目の前で光り輝いているというのに、100年以上続く老舗は皆無に近い。それでも、地中海からそよいでくる風の中で、古代遺跡は今なお偉容を誇っている」とトルコのイスタンブールで書いています。
本当にそうだと私は思いました。「東西文明の十字路」であったトルコには今もシルクロードが縦横に走っています。そのシルクロードの街路樹に蜜柑が植えられており、隊商が通った時代のままの風景がどこまでも続いたことを私も覚えています。
古代遺跡やシルクロードは日本にはありません。けれども日本には老舗を通しての職人の文化が今も色褪せることなくいよいよの光沢を放ち続けているのです。
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2008年2月14日 |
米国大統領選挙の民主党候補指名争いが世界の注目を集めています。バラク・オバマ上院議員とヒラリー・クリントン上院議員、メディアを通して伝えられる二人の候補者の攻防戦は迫力があります。
12日の首都圏決戦ではオバマ候補が全勝しました。獲得代議員数も1215人となり、1190人のヒラリー候補を初めて逆転しました。
5日のスーパーチューズデー後、実に7連勝です。勝利した州は22にのぼり、ヒラリー候補の12州を大きく引き離しています。
3月4日には大票田のテキサスなどで予備選挙が行われます。ヒラリー候補はここでの逆転に全力を傾けているようですがどうなることでしょうか。興味深々です。
本番の大統領選挙は民主党、共和党の候補者が決まる両党の党大会を経て2008年11月4日に全米で一斉に行われます。ここで決まった次期大統領が2009年1月20日に正式に合衆国の大統領に就任します。
大統領に就任するのは誰なのでしょうか。民主党か共和党かにも興味はありますが、民主党の候補者が誰になるのかにもっと興味があります。
おそらくその方が大統領になるでしょう。だからこそ民主党の候補者指名争いが事実上の大統領選挙として世界の注目を集めているだと私は思います。
米国はダイナミックに変わろうとしています。世界もまた劇的に変化していくことでしょう。そんな世界の中で日本だけが取り残されてはなりません。
衆議院と参議院の多数党が違うことから来る国会のねじれ状態が国の意思決定や政策の決定を遅らせることを私は心配しています。
国会はこの国がどうあるべきか、明確な青写真を描いて政策を競い合う場であり、党利党略の場ではありません。国会論戦が国民の大向こうを唸らせるものとなるよう期待しています。
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2008年1月18日 |
NHKの「スーパー職人大集合!技能五輪に挑んだ若者たち」をたまたま見ました。これは昨年11月静岡県で開かれた技能五輪国際大会で活躍した日本代表選手の代表18人が出演したものですが彼らの話に引き込まれるように最後まで見てしまいました。
技能五輪は2年に1度開かれる「職人たちのオリンピック」です。自動車板金や機械組立、建具や石工、洋菓子製造や西洋料理など47種目で世界一を決めるものです。
参加資格は22歳以下の若者に限定、各地各国の予選を通過した選手が厳しい訓練を重ねて磨き上げてきたものづくりの腕を競います。
日本が静岡県での国際大会に送り込んだ代表選手は51人。世界の競合と渡り合い金メダル16個を獲得し、参加した46の国・地域の中でトップに輝きました。
テレビのスタジオにはその代表選手の代表18人が集合したのですが、ものづくりや手仕事に青春の情熱を傾けるようになった動機や支えてくれた親方や家族との感動秘話などを熱く語りました。
代表選手の一人一人はどこにでもいるような若者ですが、一人一人が手仕事を通して「汗と涙の青春ドラマ」を繰り広げているのです。それだけに彼らの語る言葉には重みがありました。
自動車板金に打ち込んでいる若者は「腕を磨いて新車発表会に出す車のボディ製作をしたい」と語っていました。
私は若い頃、浜松のヤマハ技術研究所で「トヨタ2000GT」を開発設計する一員として仕事をしたことがあります。第1号車を試作発表できた日の感動は今も忘れることはできません。
とともに思い出すのは、一枚の板金から車のボディをたたき出した一人の板金工の姿です。その人は会社の人ではありませんでした。優秀な職人を臨時に雇ったのです。
一人で研究所の中の試作工場に来て設計図と木型だけであのトヨタ2000GTの流線型の綺麗なボディを叩き出したのです。太い腕、精悍な顔つきそれでいて人なつっこい笑顔でした。
会社の上司が「彼の日当は君の月給を超えるよ」「男は誰にでもできない仕事ができるようにならなければね」と言ったことも思い出します。
ものづくりそして製造業は産業の基盤だと私は今も思っています。若者がものづくりに情熱を傾けてくれることほどうれしいことはありません。
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